「夫の駐在が決まったけれども、配偶者(駐在妻)は働くことが禁止されてるの?」
「もし働けた場合でも、納税って日本でするの?それとも駐在先の国でするの?」
夫の海外駐在が決まり、渡航先でも仕事を続けたい駐在妻にとって、疑問は尽きないですよね。
結論からいうと、駐在妻でも働くことはできます!しかし、働く場合には、“就労を許可しているビザを持っており、夫の会社の規定で配偶者の就労が禁止になっていないか”といった条件を確認することが大切です。
私もアメリカに駐在妻として帯同しながら、日本の仕事を在宅で継続しています。また、実際に仕事をした後の確定申告も済ませて、納税も済ませました!
この記事では、これから海外赴任へ帯同して渡航先でも働きたいと思っている駐在妻になられる方に向けて、私の体験談をもとに「渡航前・渡航後にやるべきこと」をお話をします。
駐在妻が仕事をするならオンライン完結型の在宅ワークがおすすめな理由
まず、駐在妻が仕事をするなら「オンライン完結型の在宅ワークがおすすめ」です。
これは、ビザ・税金・福利厚生などの観点から渡航後にすぐ仕事をスタートし、様々な調整もしやすいからです。
ここからは、具体的に一つ一つ解説していきますので是非ご覧ください!
仕事をしながら家事や子育てを両立しやすい
1つ目は、在宅ワークなら自分のペースで仕事をしながら家事や子育てを両立しやすいことです。
渡航後の最初の壁は、環境(生活)に慣れるところからスタートします。異国の地で基盤を整えるには多少時間がかかりますよね。
さらに自分だけではなく子供がいると、育児や子供の学校の送迎、急な子供の発熱、家事や手続きなど盛り沢山です。
在宅なら出社の必要がないので、基盤を整えながら自分のペースで仕事を進められることがメリットです。
もし現地で就労した場合、駐在員の任期があるので、ゆくゆくは帰国しないといけません。そうなると現地の仕事を退職せざる負えませんが、在宅ならば帰国後も継続することができます。
以上の点から、駐在妻にとってオンラインの在宅ワークはおすすめの働き方です。
夫の会社の福利厚生内で働くことができる
2つ目は、在宅ワークなら夫の会社の福利厚生内で働きやすいことです。
これは、多くの会社が現地でかかる様々な費用を負担してくれます。例えば、負担してくれる内容として以下が挙げられますので、参考にご覧ください。
(例)会社が負担してくれるもの
・日本の健康保険や厚生年金
・住宅手当
・現地でかかった医療費
・子供の教育費の補助、配偶者の語学学校費補助
・日本への一時帰国代など
しかし、一定の収入の稼ぎがあると認められると、これらの負担額は自費で支払わないといけない可能性があります。
※会社の規則により異なるため、詳しくは配偶者の方の人事の方へお問い合わせください。
例えば、私の夫の会社を例に挙げると、年間所得額が130万円(一般的に日本の扶養内)以上だと、配偶者の補助が多少外れてしまい、自費で支払う必要が出てきます。
私は帯同してすぐ妊娠が発覚したので、アメリカの高額な医療費を自費で賄うことは難しく、この制度は非常に助かりました。
在宅ワークなら、報酬(収入)を受け取る通貨の多くが円換算です。扶養内で働くには調整がしやすい点もメリットだと考えます。
就労許可証を取得しなくても働くことができる(アメリカ編)
3つ目は、アメリカの場合、2022年よりLおよびEビザ駐在員の配偶者の方は、就労許可証がなくても働くことができることになりました。
DICKINSON WRIGHTより引用
これは、在宅ワークでもアルバイトでも、どんな雇用形態でも就労可能のようです。
例えば、帯同前でも在宅ワークなら、日本にいながら事前に就労が可能かどうかを確認することが出来ます。
また、リモートワークに対応している企業を探して交渉することや、クラウドソーシングなどにも登録して準備も可能ですよね!
以上の点より、渡航先のビザが就労禁止でないかどうかを事前に分かれば、帯同前の準備もしやすい在宅ワークはおすすめの働き方です。
駐在妻が仕事をするために確認した方がいい2つのポイント
ここまでは、駐在妻が仕事をする場合“オンライン完結型の在宅ワークがおすすめ”である理由を説明してきました。
ここからは、実際に渡航先で働くためには、どのようなことを確認すればよいのか2つのポイントに分けてご紹介します。
① 配偶者の就労を認めているビザである
まず1つ目に大切なことは、海外駐在先で配偶者の就労を認めているかどうか、ビザを確認してください!
例えば、私の帯同先のアメリカでは、L-1ビザおよびE-1ビザを持つ駐在員の配偶者(L-2やE-2)の方は、就労許可証がなくても働くことができます。
また、アメリカ以外の他の国では、以下の国で配偶者の就労許可が認められているそうです。
PERMITS foundationより引用
渡航先でも働きたい場合は、就労が認められているビザであるかどうかの確認をしましょう。
② 会社の規定で配偶者の就労を禁止していない
2つ目に確認することは、夫(または妻)の会社が配偶者の就労を認めているかどうかの確認をすることです。
なぜなら、就労可能なビザを持っていても配偶者の会社が就労を認めていないケースもあるからです。
これが駐在妻が働けない理由の一つなのではないでしょうか。海外赴任に帯同をするとき、当然ながらビザを持って入国します。ビザを発行する会社は、夫(または妻)の会社です。
ここからは私の経験談ですが、当初夫の会社は配偶者の就労を許可していませんでした。理由を聞いたところ、「会社でビザを発行している以上、何かあった時の責任問題になりかねない」とのことでした。
後に就労が認められましたが、会社の就労同意書の書類にサインをして、日本の扶養には入れず、現地で確定申告をし納税をしました。
様々な制約は出てくる可能性はありますが、例え在宅でも働くことで「帰国後のキャリアブランクを少なくする」ことに繋がります。
意外と平日は、何かしていたとしても自由な時間は多く孤独を感じることも少なくありません。
在宅で働くことで気分転換にも繋がるので、働きたい方はこの壁を是非突破しましょう!
在宅で働いた場合の納税や確定申告は居住国が原則!!
ここまでは、駐在妻が渡航先で仕事をするために確認した方がよい2点をご紹介しました。
それでは、もし在宅で仕事する場合、納税は日本なのか、渡航先の国なのか気になりますよね。確定申告もどのように進めれば良いのか疑問点が出てくるのではないでしょうか。
ここからは、納税や確定申告についてご説明してきます。
納税は原則「海外赴任先(居住国)」で行う
まず、在宅などで働いた場合の税金は、原則、居住国である海外赴任先で行います。
これは、以下のように居住者・非居住者の区分が定められているからです。
〈居住者〉国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。(引用:No.2875 居住者と非居住者の区分)
〈非居住者〉上記以外の個人で、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
2 国内に住所を有しない者と推定する場合
国外に居住することとなった個人が、次のいずれかに該当する場合には、その者は、国内に住所を有しない者と推定されます。
(1) その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
※ 上記により国内に住所を有しない者と推定される個人と生計を一にする配偶者その他その者の扶養する親族が国外に居住する場合には、これらの者も国内に住所を有しない者と推定されます。
参考:国税庁 別紙 住所の推定より
つまり、1年以上居住することがわかっている、駐在妻の方は非居住者と判定されます。
そのため、基本的に現地での納税が必要です。
アメリカの確定申告は「夫婦合算申告」または「夫婦個別申告」である
続いて、確定申告も原則は居住国である海外赴任先で行います。
例えば、アメリカの確定申告の場合、「夫婦合算申告」が一般的です。そのため、奥さまの所得や日本で保有する銀行などの資本による情報もまとめて申告する必要があります。
しかし、配偶者に所得があった場合は「夫婦個別申告」をする必要があります。これは、配偶者である夫(または妻)の会社の規定で異なるので、確認しましょう。
この夫婦個別申告によるデメリットは、必要書類の準備に手間がかかることと会計士さんへ依頼するかご自身で作成を行う必要があることです。
私の場合、夫の会社の規定により個別申告を行いました。ただ赴任時の初年度は、その国の滞在日数によって居住者、非居住者判定により、課税対象となる所得の申告が異なることもあります。初年度は会計士さんにお願いするのがおすすめです。
※日本の確定申告は、非居住者であっても恒久的施設がある場合、国内源泉所得について確定申告が必要です。(参考:No.2883 恒久的施設(PE)(令和元年分以後)
【実体験】駐在妻の私が仕事をするために行った6つの方法
ここまでが、仕事をした場合の納税や確定申告は原則、渡航先であることをお話しました。
ここからは、実際にイメージしやすいように、私が帯同前から帯同後までに準備をした6つの方法をご紹介します。これから海外赴任へ帯同される方はご参考としてご覧ください!
【出国前】① 納税管理人を立てる
まず出国前に必要なことが、海外赴任先から日本の確定申告を行う必要がある場合は「納税管理人」を立ててください。
納税管理人が必要になるケースは以下の通りです。
- 日本にある不動産に係る収入がある場合
- 住民税・固定資産税等の地方税の納税義務がある場合
- 海外に出発するまでに一定の所得がある(出国後も報酬を受け取る可能性がある)
- 株式を売却した場合 など
私の場合、帯同する直前までフリーランスとして日本で働いており、渡米後も収入が発生する予定でした。税務署へ相談したところ、渡米前までに確定申告を済ませることが出来ない場合は、納税管理人(ここでは実家の母)を立てるように言われました。
納税管理人は、日本在住者なら誰でも問題はなく、確定申告書を提出する納税義務者(本人)に代わって、納税の手続きを行う人を指します。納税管理人は、出国前までに選任する必要があります。
参考:A1-7 所得税・消費税の納税管理人の選任届出又は解任届出手続
【出国前】② 取引先に源泉所得税や消費税、インボイス制度などの確認を行う
続いて出国前までに働けることがわかり、リモートワークなどで仕事をする場合は、取引先と以下の内容の確認をすることをおすすめします!
取引先に伝えたこと
・海外在住者になることを伝えて、源泉所得税を差し引かないようにお願いしたこと
・インボイス登録は非居住者になるため、登録をしない意向を伝える
・出国後の請求書は、消費税を含めないで取引すること
1つずつご紹介しますね。まず、海外在住者になることで、源泉所得税を差し引かないようにお願いをしました。
これは、国内源泉所得の支払が国外において行われる場合には、原則として源泉徴収の必要はないからです。(引用:No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ)
例えば、在宅で日本の企業からライター収入を受け取る方や、私のようなデザイナー業の報酬を受け取る場合は、源泉徴収されません。
※ただし、非居住者であっても国内源泉所得(例えば、国内不動産の賃貸料収入など)のみが課税対象とされるため、確認はしておきましょう。
続いて、インボイス制度については帰国後に行うことで、登録をしないことで合意してもらいました。
これは、非居住者に対して最初から消費税を含めないやりとりをするためです。
最後に、請求書に関しても、上記の通り、非居住者となったあとは不課税取引となるので、出国後の消費税は含めない形で取引を進めてもらうようお願いをしました。
以上が、出国前の取引先と交渉をしたことです。法律のことだと調べてもわかりにくいので、取引先の会計士さんに間に入ってもらって交渉できると良いでしょう。
【渡航後】③ SSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)を取得する
海外赴任先へ帯同後は、いよいよ現地での手続きになります。
まず、アメリカで働くためにはSSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)の取得が必要です。これは、日本でいうマイナンバー制度のようなもので、この番号は働く以外にも様々な場面で求められます。
例えば、就業時やアメリカで運転免許を取得する場合、銀行開設する、クレジットカード契約時などが挙げられます。在宅で働く場合においても、確定申告の際に使用しました。
SSN取得まではそこまで時間はかかりませんでしたが、アメリカで仕事をしたい配偶者の方は、SSN取得は渡米後に済ませましょう!
【渡航後】④ 日本の確定申告の準備をし、提出する
続いて、納税管理人を立てた場合は日本の確定申告の準備と提出を済ませましょう!
日本の確定申告は、その年の毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を、翌年2月16日から3月15日までの間に行います。
〈私のケースの場合〉
帯同前までオーストラリアにワーキングホリデーで渡豪していたので、「外国税額控除」の手続きを行うことで二重課税を防ぐことが出来ました。この申請書類を使用して、今度はアメリカの確定申告を行いました。
確定申告を海外でする場合、税務上の難しい手続きや確認が発生してくる可能性があります。ここでおすすめなのが、クラウド会計ソフトです。このソフトを使ったことで非常にスムーズに申請準備から提出まで行えました!
海外在住者でも使える、やよいのオンラインソフトは初年度が無料で使えるから、使い勝手も試せて良かったです。PDF出力もできるので、提出時に実家の母にメールして対応してもらいました!
【帯同中】⑤ 確定申告を頼める米国の会計士さんへ依頼
日本の確定申告を済ませたら、今度はアメリカの確定申告を行うために会計士さんへ依頼をします。
これは、前述でご紹介した通り、配偶者(妻)の夫婦個別申告書の作成が必要な場合に発生してきます。アメリカの確定申告は、4月15日を期限に前年分の申告を済ませます。
例えば、私の場合は初年度の滞在日数が、90日を満たない日数で入国をしました。しかし、アメリカに入国後も収入を受け取ってしまっているため、日本の確定申告をしていても、アメリカでの確定申告が必要と会計士さんから言われました。
確定申告の提出方法は、ポストオフィスから書留で郵送します。日本と異なる点は、書類を郵送するときに、追徴金があった場合、以下のような銀行のチェックに自分の情報を入力することが必要でした。米国の財務省の方で確認が終わると、後日銀行から差し引かれます。
収入額や居住者・非居住者判定によっても、確定申告の種類が異なりますので、費用はかかりますが、会計士さんへ依頼をすると煩わしさもなく、スムーズに行えるでしょう。
(帯同中)⑥ 米国で納税する
最後に、追徴金が発生した場合、郵送した銀行のチェックから自動的に引かれて終了です。
私の場合は、会計士さん経由で依頼をしていたので、事前に納税金額を教えてもらっていました。
例えば、その年の収入額が大きな金額でない場合でも、私のように納税額が発生してくる場合もあります。仕事をする駐在妻の方は、事前に家族間で相談をすることが大切です。
ここまでが、私が駐在妻として仕事をする上で行った6つの手順についてご紹介しました。手続きは多少複雑な部分もありましたが、働くことで、キャリアブランクの断絶やリフレッシュに繋がります。是非、帯同前から準備を進めていきましょう!
海外在住者の駐在妻でも登録できるおすすめの求人サイト3選
それでは、ここからは海外在住者の駐在妻でも登録できる求人サイトを3つご紹介してきます。
メリットやデメリットなど実体験も踏まえてますので、最後までご覧ください!
① Craudia(クラウディア)
まず、海外在住者でも登録できるのがCraudiaクラウディアです。
Craudia(クラウディア)は、初心者でも始めやすいタスク系の軽作業からライティングまで多数掲載されてます。スキルを持っている方は、web開発などのお仕事もあります。
クラウドソーシングは、「案件単価が安い」ことや「報酬から手数料が引かれる」などのデメリットが挙げられます。しかしクラウディアは、数あるサイトの中でも受注者・発注者共にシステム手数料が業界最安値なのが特徴です。
クラウドソーシングだとせっかく働いても、単価の低い案件でシステム手数料を結構引かれるのが痛い点ですが、最安値なのは嬉しいです。登録も無料なので、先に登録をしておいて海外生活が整ってから始めることも出来そうです。
② フジ子さん
続いて、海外在住者も多数活躍されているのがオンラインアシスタントフジ子さんです。
フジ子さんは、主に経理や秘書、総務、人事などの業務依頼が多いオンライン秘書サービスです。スキルに合わせた業務依頼をしており、未経験者でもフォロー体制が整っているので安心です。
海外在住者の場合は、日本時間の平日9:00~18:00にやりとりできることが望ましいと記載がありますが、このあたりは面談時に相談されるのが良いでしょう。お給与を受け取る際の銀行口座も、海外送金に対応しているのは嬉しいポイントですね。
③ ママワークス
最後にご紹介するのが、主婦向けの在宅ワーク「ママワークス」です。
ママワークスは、海外在住の方でも働きやすいように稼働時間の制約がない企業から、時差を利用して働くなど応募する企業によって異なります。
応募の仕方は、サイト内で気になる企業に応募をすると、応募完了メッセージと共に、企業からのメールが届きます。
これは企業側が応募者に確認したいことを事前に質問形式でまとめた内容です。こちらのメールに返信をすると、後日企業の担当者から連絡が届く仕組みになっています。
私は気になる企業とオンラインで面接を受けて合格通知をいただきました。実際、様々な事情から辞退をしてしまいましたが、面接をした企業の担当者の方はしっかりと要望なども聞いてくれて、とても安心できたのが印象的です。
ママワークスも、登録は無料です。また、探し方も勤務地に“海外”とチェックを入れると、海外在住者でも応募できる求人が多数掲載されています。
登録をすることで、どんな仕事が実際にあるのかをみてみるとイメージを膨らませやすいでしょう。
以上が海外在住者の駐在妻でも登録できる求人サイト3選紹介しました。登録も無料なので、帯同前に登録だけ済ませておけば、実際にどんな仕事があるのか探すことが出来ます。
応募企業と交渉することもできますよね。在宅ワークを考えている方は、是非事前登録を済ませておきましょう!
【まとめ】駐在妻が働くなら、オンライン完結型の在宅ワークにしよう
“就労を許可しているビザを持っており、夫の会社の規定で配偶者の就労が禁止になっていないか”といった条件をクリアすれば、渡航先でも駐在妻は働くことが出来ます。
もし働く場合、おすすめの働き方はオンライン完結型の在宅ワークです。
在宅ワークを推奨する理由
1:渡航後も自分のペースで仕事をしながら家事や子育てを両立しやすい
2:夫の会社の福利厚生内で働くことができる
3:アメリカの場合、配偶者ビザ(L2、E2)は就労許可証なしで働くことができる
在宅ワークで働いた納税や確定申告は、居住国が原則です。渡航前に1つ1つ準備を進めることで、帰国後のキャリア断絶や心の安定(リフレッシュ)に繋がります。
渡航前に無料で求人サイトに登録することで、職種の確認や、応募企業と交渉することができる“在宅ワーク”はおすすめの働き方です。
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